20世紀から今日にかけてエレクトロニクス技術が進歩し、多くの電気器具や電子デバイスが開発されてきました。20世紀に発明されたエレクトロニクス製品の中で特に人々の生活を大きく変えた物のひとつは、蛍光灯です。最近は照明器具に省電力かつ長寿命の発光ダイオード(LED)の普及が進んでいるものの、家庭やその他の場所では蛍光灯が活躍しています。
蛍光灯とは、減圧したガラス管(蛍光管)の内部で水銀の蒸気中に電子を放電させて紫外光を発生させ、蛍光物質を通して可視光線にして光源に変換する仕組みを持つエレクトロニクス製品です。従来の白熱電球と比べると発生する熱が少ないため、消費電力が少なくて済むというメリットがあります。
蛍光管の多くは直管型または丸型で光が広範囲に拡散するような形状に作られていますが、その他の照明タイプ(蛍光管をスパイラル型に加工して球体にした電球型や電極が片方しかついていないT型ランプなど)も存在します。電球型の製品は白熱電球の口金にそのまま取り付けて使用することができるようになっているので、照明器具の本体を交換することなくランプだけを交換して使用できます。
蛍光灯は太陽光に近い白色の光を作り出すことができ、白熱電球と比較すると消費電力が少なくて寿命が長い(1万時間前後)という特徴があります。ただし蛍光管の内部には人体に有害な水銀が含まれているので、使用済みのランプは適切に処分をしないと環境破壊の原因になってしまうというデメリットも存在します。照明器具に安定器やグローランプなどの機器を取り付ける必要があり、これらが故障をすると点灯しなくなってしまいます。頻繁に点灯と消灯を繰り返すような使い方をすると、蛍光管やグローランプの寿命が短くなります。
現在でも消耗品である蛍光管やグローランプの製造・販売は続けられているものの、家電量販店で販売されている照明器具はLEDを使用するタイプがほとんどです。LEDは蛍光管と比べて光の変換効率が高いので消費電力が少なくて済み、寿命が長い(4万時間前後)というメリットがあります。これに加えてLEDランプには蛍光管のように有害な水銀が含まれておらず、ガラスを使用していないので割れてガラスが飛散する危険もありません。点灯と消灯を繰り返してもLEDランプの寿命が短くなる心配がないので、こまめに明かりを消して電気代を節約することも可能です。このため、照明器具は蛍光灯からLEDに少しずつシフトしていくものと考えられています。