電子機器は私たちの暮らしを便利にしてくれますが、一方でそれらの廃棄物による深刻な環境問題も生じています。電子ゴミによる環境の汚染は、プラスチックなどと並んで無視できない状態となっており、最も分かりやすい解決策としてはリサイクルの推進が考えられます。
一般に電子機器とはパソコン、スマホに代表されるようないわゆるエレクトロニクス製品が主なものであり、単なる電化製品、つまり電気で動く製品とは区別されることが普通ではあります。ですが、一昔前ならともかく、今ではIoTの発展もあり、電子部品を使わずにただ電気回路だけで構成される製品というのは少なくなる一方です。テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機といった大型の家電製品だけでなく、扇風機、炊飯器、電気ポット、掃除機といった製品であっても、液晶表示があってマイコン制御になっていることがごく当たり前になっており、これは即ち広い意味での電子機器であることを示しています。もちろん一般の家電製品も環境問題として無視できないことは事実ですが、電子機器について環境問題を考えるときには、パソコンやスマホだけでなく家電製品なども含めて考えることが適切でしょう。
これらがゴミになったときに、他のゴミと比較してどのような問題を特にはらんでいるのかと言えば、その中に金属を含むものが多いことです。そして、それらの中にはいわゆる重金属として人体や動植物に対して毒性を示すものもあるということが大きな問題です。もちろん、普通に機器を使用している際にはそれらは問題とならないように設計されていますが、いったん廃棄物となって屋外に雨ざらしにされたようなときには、含まれている金属が溶けだしてきたりする可能性もあるわけです。
もう一つ課題として挙げられることは、含まれている金属の中には、毒性とは別に、かなり希少な価値を持つものも多いことです。単なる電化製品であれば、含まれる金属は鉄や銅、アルミや真鍮などが主であり、もちろんただではないものの、特別に希少なものでもありません。ところが電子機器となるとそれこそ貴金属の金を始めとして、多種多様な希少金属が含まれていることが多く、それこそ重量比では一般的な鉱山以上の割合で電子機器の廃棄物に含まれていたりします。そうなると価値という意味でももう無視できません。 これらの問題を解決するために、リサイクルの推進とか、まだ使えるものはできるだけ長く使うといったことが求められているわけです。